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rapanse’s diary

ポストモダンの視点で絵画を楽しみ、沖縄のシマ社会と芸能を楽しむ

アルブレヒト・デューラー――《騎士と死と悪魔》《メランコリアⅠ》

初期フランドル派が中世ヨーロッパの終焉と運命をともにしたのに対して、ドイツ・ルネサンス宗教改革と運命をともにする。広義の意味における近代ヨーロッパ社会の幕開けを告げるのである。

アルブレヒト・デューラー(1471-1528)は、自信に満ちあふれた自画像で、西洋絵画史上に登場してきた。

下の絵がデューラー26歳の自画像だ。

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アルブレヒト・デューラー作《26歳の自画像》(1498年) 

この自画像には不屈の精神が描かれている。

次の版画はデューラーの《騎士と死と悪魔》だ。騎士は、不気味な死神(左)と悪魔(右)を同伴者としている。しかし、騎士の姿に動揺はなく、確固とした前進を続けるだけだ。この騎士の姿は、デューラー自身の不屈の精神を表わすものだといえる。

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アルブレヒト・デューラー作《騎士と死と悪魔》(1513年)

 次の版画は、《騎士と死と悪魔》の翌年に制作されたものだ。

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アルブレヒト・デューラー作《メランコリアⅠ》(1514年)

題名となっているメランコリアは憂鬱という意味である。版画の左絵の蝙蝠の翼にタイトルが描かれている。しかし憂鬱というタイトルと、この絵に描かれている記号は、異なる。

絵の主人公である天使の眼は、強い意志力を表わしている。手に持つものはコンパスであり、コンパスの下には大工道具が転がっている。これは世界を新た設計し、作り直すことを意味するものだといえる。

絵の上部では、蝙蝠のそばに光が輝いている。その右には最後の審判に登場する秤があり、終末の時を刻む砂時計があり、新たな時を告げる鐘が描かれている。鐘の下には魔方陣が描かれている。つまり、数学的であり魔術的でもある魔方陣を描くことによって、メランコリア(憂鬱)の源は断たれてしまうのだ。

《騎士と死と悪魔》に表わされた騎士は、死に対する恐怖や悪魔の誘惑という中世的なテーマに対して、惑わされることのない毅然とした態度をとる。《メランコリアⅠ》では世界の再構築が描かれている。ルターの宗教改革はすでに準備されていたのである。