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rapanse’s diary

ポストモダンの視点で絵画を楽しみ、沖縄のシマ社会と芸能を楽しむ

夢見がちで、謎めいた表情というお約束

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ジョン・エヴァレット・ミレイ作《オフィーリア》( 1851-52年,76.2×111.8cm  テート・ギャラリー)

絵は、樹木希林によるパロディで話題になった、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896)による《オフィーリア》である。画中のオフィーリアは目を半ば閉じ、口を半ば開け、夢うつつの状態である。

画中のオフィーリアのように、一見意味ありげな表情の女性を描くのが、ミレイの属するラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood )の特徴だった。本来はラファエル以前兄弟団とでも訳されるべきだが、ラファエル前派という略称で、日本では紹介されている。

ラファエル前派という奇妙な名称の由来は、ラファエロ以前を目指すという姿勢を表わすものだった。ラファエロというのはイタリア・ルネッサンスの象徴として用いられている。つまり、イタリア・ルネッサンスを超えるという意思表示をしているのである。

どのようにして超えるのかというと、ルネッサンス以前の中世を重視し、とりわけ中世騎士道をリバイバルさせることによって、イタリア・ルネッサンスを超えようとしたのである。

Brotherhoodは兄弟団という意味だが、兄弟団というような中世的な秘密結社めいた名称にも、彼らの好みが表れている。

ラファエル前派としての活動期間は短かった(1848-1853年)が、大英帝国を象徴する美意識として、大きな影響を与えた。ラファエル前派によって中世騎士道はリバイバルを遂げ、ジェントルマンたちは現代における騎士になる。そして、ジェントルマンたちによって創られた女性像は、つねに夢見がちで、謎めいた表情を浮かべていなければならないというお約束があった。