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rapanse’s diary

ポストモダンの視点で絵画を楽しみ、沖縄のシマ社会と芸能を楽しむ

放蕩息子の帰還

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レンブラント作『放蕩息子の帰還』(1669年、オランダ)

バロック芸術は闇に光を当てるという手法を駆使する。

この絵で光は、暗い建物の左側から射している。そのため父の顔は見えるのだが、父に抱擁される息子の表情は隠されている。

レンブラント(1606-1669年)最晩年の作品の一つであり、放蕩息子であった自分が、父に赦されて帰ることができたという寓意を表している。

しかし、光の射しこまない闇の中には、嫉妬に燃える兄の表情が浮かぶ。

ぼくたちもウマリジマ(生まれシマ=故郷)を離れて旅の途上にある。抱擁する父がいなければ、ウマリジマに戻ることもない。そして、ウマリジマを離れることのできなかった兄の嫉視と和解することもできない。

光は、一つだった世界を、闇と光に分断する。闇に追いやられた世界が、ぼくたちの育まれた世界だといえる。闇の側から、光の中にあるぼくたちが赦されることがあるのだろうか。

父は、光の世界と、戻ることのできない闇の世界との境界に立っている。放蕩息子が帰還するためには、このような父の存在が必要とされたのだろう。レンブラントにそのような父はいたのだろうか。