rapanse’s diary

ポストモダンの視点で絵画を楽しみ、沖縄のシマ社会と芸能を楽しむ

『狂気の歴史』

聖なるものと狂気

フーコーの『狂気の歴史』をぼくなりに理解すると、次のようなものになるだろう。はじめに闇夜の静けさがある。その静けさは魑魅魍魎によって満たされ、ざわめいている。人間たちはその魑魅魍魎と折り合いをつけて、昼間のあいだだけを、そして自分にとって…

ゴヤの『妄』と『黒い絵』

スペインの宮廷画家だったフランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)は、フランス革命(1789)を挟み二つの時代を生きた芸術家だった。二つの時代というのは、理性が絶対王政と争っていた時代と理性が勝利した時代のことだ。19世紀に決定的になった理性の時代に、…

宮廷風恋愛から結婚契約、恋愛結婚へ

恋愛という愛の観念は、普遍性をもつものではなかった。それは中世騎士道のなかで誕生した愛の観念だった。 騎士道は12世紀から13世紀にかけてのヨーロッパで誕生したものだった。騎士になるものの多くは、領地を継げない次三男たちだった。彼らは戦争によっ…

監禁からの解放とケアの家族化

フーコーによると、ヨーロッパの産業化された社会では、17世紀後半に「大監禁」の時代が始まるとされる。監禁されたのは、「精神病者だけでなく、失業者や不具者や老人など、すべて働けない者」たちだった。 十七世紀頃から産業社会が形成されはじめ、このよ…

多いなる監禁と市民社会

次の絵は17世紀オランダの画家、フランス・ハルス(1580-1666)による『養老院の女理事たち』(1664)である。英語のタイトルでは、養老院はOld Men's Almshouseとなっている。老人用救貧院という意味である。 この絵に関して、異なる二つの解釈がある。一つ…

慈善(チャリティ)の変化

16世紀の宗教改革の時代に入って慈善の意味は変化した、とフーコーは言う。貧乏人、悲惨な者、自分自身の生存に責任をもつことのできない者に慈善を施すのは、中世までは、富裕者自己自身の救霊を意味していた。しかし、宗教改革によって、慈善は救霊という…

15世紀における〈狂気〉の誕生

「十五世紀になると、人間の狂気の画像(イマージュ)である例のグロテスク図柄は、数多くの誘惑のなかの特権的な形象の一つとなる」(田村俶訳『狂気の歴史』)とフーコーは言う。グロテスク図柄は中世ヨーロッパで親しまれていたものだ。グロテスク図柄が…

死の勝利と狂気の覚醒

フーコーによると、15世紀から、狂気がヨーロッパの文学や絵画のテーマとなっていく。 『狂人の治療』と『阿呆船』のジェローム・ボッシュから、『デュル・グリート』のブリューゲルにいたる画像(イマージュ)の長期間の支配時代がある。〈阿呆祭〉や〈狂人…

《阿呆船》

フランスの哲学者ミシェル・フーコー(1926-1984)によると、17世紀までのヨーロッパは、狂人を排除・隔離する社会ではなかった。つまり狂人は、社会の一員として暮らしていたのである。 中世紀とルネサンスにおいては、狂人は社会の内部に存在することを許…